大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)3891 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人等の弁護人高橋泰雄、同古山貞三、同奥田三之助の上告趣意第一点につい

て。

所論は単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らな

いのみならずその実質についても、(イ)理由不備の違法ありとの所論については

第一審判決挙示の証拠と同判決認定の事実及び起訴状記載の公訴事実とを対照して

考察すると、第一審判決の判示事実中第三の8(被告人Aがその自宅で昭和二七年

九月二五日頃Bに対し五、〇〇〇円供与)は起訴状記載の公訴事実第三の9(被告

人Aがその自宅で昭和二七年九月二五日頃Bに一二、〇〇〇円供与)に相当する事

実であることは原判決の説明するとおりであることが認められる。しかして第一審

判決の右事実について挙示する証拠を検討すると、被告人Aは同被告人が昭和二七

年九月二五日頃その自宅でBに渡した金額は一〇、〇〇〇円であつたと思う旨述べ

ており、且つそのうち五、〇〇〇円は同被告人がBに対し選挙運動報酬として供与

したものであるが、残りの五、〇〇〇円は同人に供与したものではなくCに供与す

べき選挙運動報酬としてBに渡したものであつて同人はその五、〇〇〇円を被告人

Aの意を体してCに供与の取次をしたものであることが明らかである。従つて第一

審が、被告人Aが昭和二七年九月二五日頃その自宅でBに一二、〇〇〇円を供与し

たとの公訴事実(第三の9)について、判示第三の8の如くBに対する五、〇〇〇

円だけの供与の事実を認定したのは正当である。而してこのような場合に、公訴事

実の一二、〇〇〇円と右認定の五、〇〇〇円との差額七、〇〇〇円を認めなかつた

理由を特に説明する必要のないことは原判決の説示するとおりであつて、何等所論

理由不備の違法はない。次に(ロ)審判の請求を受けた事件について判決をせず又

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は審判の請求を受けない事実について判決した違法或は訴因変更の手続を尽さなか

つた違法ありとの点については、所論は第一審判決の判示第三の8の事実が公訴事

実第三の9についての認定ではなく、第一審判決の判示第一三の二のBが被告人A

のCに対する供与を取次いだという幇助の事実に対応する被告人AのCに対する供

与の正犯としての事実を認定したものであるということを前提とするものである。

しかし(イ)について説明した如く第一審判決の判示第三の8の事実は公訴事実第

三の9に相当するものであつて所論はその前提を誤つており、従つてその実質にお

いても論旨は理由がない。

同第二点について。

公職選挙法二五二条の規定が所論憲法一四条一五条の各規定に違反しないことは

当裁判所大法廷の判例により明らかである(昭和二四年(れ)第一九〇九号、同二

五年四月二六日大法廷判決、集四巻四号七〇七頁。昭和二九年(あ)第四三九号、

同三〇年二月九日大法廷判決)。論旨は理由がない。

なお記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴四〇八条により、主文のとおり判決する。

この判決は上告趣意第二点につき裁判官池田克の少数意見の外は裁判官一致の意

見によるものである。

裁判官池田克の右少数意見は昭和二九年(あ)第三〇四五号、同三〇年五月一三

日言渡しの第二小法廷判決に所掲のとおりである。

昭和三〇年五月二〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

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